思考錯誤

細かいことを気にしてしまう

チェスのチーム戦感想(対局内容以外の面・図面等なし))

9月17日及び18日に開催されたチェスのチーム戦に某チームの一員として参加した。大会自体久々であったこと等もあって色々と気づきがあったため、以下に記したい。なお、他の方が書いているような局面解析等はない。

 

0 参加までの筆者のチェスの状況

1 新しい団体になってからの運営について

2 疫病下における大会について

3 シシリアンについて

4 プレイヤーとして久々に対局して

5 おわりに

 

 

0 参加までの筆者のチェスの状況

当初はルールのみ認識し、ヤフーチェスやハンゲームで遊ぶ程度。大学時代から改めて基本的な部分を学ぶ。大学在学中はチェスサークルに顔を出しつつ、時折大会に出る感じ(前の団体では仮レートのまま終了)。将棋もやる。大学院進学後は学業に専念しており、全くやっていない。最近環境が変わりリアルチェスに復帰したいと考えていたところ、久々にチーム戦が開催されるということで、いい機会だし参加することに。

 

1 新しい団体になってからの運営について

上記の経緯ゆえ、今回のチーム選手権前に年会員登録をし、統括団体が変わってからは大会初参加。以下の点で、大会に参加しやすくなっていると感じた。なお、当時よりお子さんを含むチームが増えているような気がした。NCSや熱心な方々の普及の成果なのかもしれない。

 

①盤駒、時計、棋譜用紙を運営側が揃えてくれている

 当時はこれらを自分や相手が持参しなければ、他の人に借りたり、運営側から有償で借りたりする場面があった。普段から例会や大会に参加している人は問題ないが、久々勢やはじめて行く勢(ないしそのような人を誘う勢)には心理的及び経済的負担があった(※なお、名古屋チェスクラブさんなどは従前からこのようなスタイルであり当時から助かっていた)。

 現在は、これら一式を自ら準備する必要がなく、比較的参加しやすいものとなっており、非常にありがたい。

 

②結果が速やかに反映されている

 細かい当日の成績などは、従前は中々個人では把握しづらかった気がする(特にチーム戦では)。これに対し、現在は可能な限り迅速にChessResultに反映され、オーダーの参考になるし、選手の名前やレートなどの最低限の情報はすぐに参照可能。

 

③チーム結成しやすい

 当時は公認チェスクラブとのかかわりなど、チームを組んだり参加をするのに一定の要件が必要であった(そもそも確認不能ではないかと思われる要件まであった)。一方、今回は文字通り好きなメンバーで組むことができる上、個人で参加してNCSチームというパターンもあり、裾野の広さを感じた。この緩和があったゆえに私も思い切って参加することができている。

 

④ルール等や注意点に関して英語での要約説明がある

 今回も日本在住だがメインは英語を使う方が参加していた。当時からそのような人はいたが、現場の説明は日本語のみであったため、おそらく知り合い等がいないと参加しにくかったのではないか(あくまで推測)。そういう点では、ハードルが下がる方もいるだろうから、プレイヤーを集めやすくしており良いと思った。

 

⑤まとめ

 今回のチーム選手権は、運営の方が言及されていたようにプロから初心者まで参加できるという点で、プレイヤーとしても普及の観点からも非常に良いセッティングであったと思う。なお、会場の王子の北とぴあで検討室に行くのが結構乗り換えが大変だったが、そこらへんは規模や借りる時期の都合もあるだろうから、甘受するほかないだろう。

 

2 疫病下における大会について

 

①観戦の制限を設けたこと

 今回はリーダー以外は対局終了後は直ちに対局室から出るルール。リーダー以外は他のゲームを観るにはゲーム中に歩き回るほかない。IMやFMの方々のゲームや試合運びを試合後などに気軽に観れないのは残念だが、参加者が多数であったことかつ久々のチーム戦であったことも考慮すると、運営の負担を減らすためにも、この点はやむを得ないだろう。

 一方、その分時間が経つにつれて控室が人であふれてしまっていたため、予算の都合など難しいところはあるかもしれないが、工夫の余地はあるかもしれない(※試合が終わった部屋を有効活用するために、全試合終わった部屋はそうわかるように「検討室として利用可能」等、扉にプレートを置くとかはどうか)。何よりもこの疫病時代が過ぎるのが一番ではあるが。

 なお、検討は各自の責任でということであったため、私自身は小型チェスセットを持参して相手の方が応じてくれた際は感想戦をした。疫病下を経て、私は対面で試合をする意味として、可能であれば熱いうちに検討をすることが重要だと思う(+これを介した交流を含む)。後で解析はできるのはもちろんだが、対局中の読み筋や感触などを確認できる貴重な機会だ。また、ネットだとどうしても「ハイクソ~~~二度とやらんこんなクソゲ~~」ってなってしまうが、感想戦があるとまだ気が紛れる気がする。

 

②検温消毒マスク着用等の励行を求めたこと

 従前にNCSとして対策の徹底をするよう求め、それを参加要項に記載してあった。またリーダー会議では、その点に関して質問や付言がされていたようであった(※私はリーダーではないのでリーダーから流れてきた情報をみた限り)。知り合いのメンバーの中には医療従事者も居た上、私自身もハイリスク勢なので非常に助かる。

 当日も入場前やルール説明時に感染症対策ルールに言及していて運営としてとても良かったと思う(英語で同内容を述べることも含め)。あとは参加者自身の問題であろう。NCSルールでは不織布マスクをしっかり着用することの厳守が求められている(COVID-19 ガイドライン改訂版 | National Chess Society of Japan - NCS)。少なくとも試合会場ではこれを守る必要があるだろう。多くの人がこれを厳守していたが、そうでない人もいたのも確かである(私の対局相手の一部もそうだった)。ネットや世間では不織布かとか着用かとか話さない対局時に厳守する合理性とか意見が種々あるだろうが、個々人の意見にかかわらず、大会を運営する側が指定したルール(=ドレスコードの一種)は守るべきであろう(普段参加するサークルなどではそのルールを守ればいい)。自身の都合で長時間着用がつらい事情があるなら、事前に運営や相手に告げたり、時折退席して空気を吸いにいくなど工夫する必要があるのではないか。

 このルールに関し、イリーガルムーブのような盤上のペナルティではないから、違反ですぐさまどうこうではない(ゆえに難しいのかもしれない)。また、運営の人数も限られているだろうから、すべての事象に逐一目を配り、注意等をすることも困難であろう(今回設けられたリーダーを介して質問等をすべきルールもそのための趣旨だろう)。ただ、後に聞いた話では、別の大会で厳重注意されている人もいたようなので、一参加者としては一応指摘すべきであったかもしれない。

 

 何をそんな細かいことをと思われる方もいるかもしれないが、この議論に類する出来事は去年将棋界で起きたことであり、結果的に将棋連盟が対局中の着用を要件として義務づけることになったのである(しかも違反即負けという効果)。

 このような盤外での懸念はできるだけ払拭して、せっかくの真剣勝負の場を活かして、真にボード上で勝負をしたいと私は思う。高潔すぎると思われるかもしれないが、相手を慮ることや礼節は、将棋でも囲碁でもチェスで重要な事項の一つだと思っているため、私のように思っている人はたぶんいると思う。自分としても、参加する際には、要項を今後もしっかり見るようにしたい。

 

3 シシリアンについて

 ここまでは運営や参加者について言及したが、一転して試合や観戦をして感じた点を少し述べる。それは「e6シシリアン日本で前より人気になってる…!?」である。タイマノフもカンも私が現役学生の頃はやっている人をあまり見なかったからか、対e4のレパートリーとして割と刺さりやすかった(エッセンスを理解しておくくらいで)。

 しかし、時は経ち結構指されるようになると、こちらもしっかりプレパが必要である。今はやる気が結構あるので、シシリアン以外を含めて今後は色々混ぜていきたい。

 

4 プレイヤーとして久々に参加して

 まず、45分+30秒/手という非常にしっかり考えることができるタイムコントロールは久しぶりで充実していた。将棋や囲碁では、少なくともアマチュアにおいて、このクラスの長さを1局に費やすことはできない。その意味でも貴重であった上、やはり日々の雑念や嫌なことを一時的にでも忘れされてくれるのは「没頭」であると思った。

 加えて、チェスは自転車のようなものだと思った。久々にやると細かいオープニングなどの変化はさすがに忘れてしまっているが、多少触れるとある程度感覚的な部分が戻ってくる。自転車にしばらく乗っていなくて不安でも、乗って走りだすと体が思い出すみたいな感覚だ。これを読んでいる方も、日々の学業や仕事を通じて、通底する思考部分は維持(うまくいけば向上)できるかもしれない。

 

5 おわりに

 色々言及したが、総じてリアルチェスはやはり楽しいという気持ちが強く残った。久しぶりに会った方々とお話や対局もできた。友達おらんし…と思う人もいるかもしれないが、個人戦等に参加していても、何度も参加してれば顔見知りみたいな感じになることも多い。仮にそうでなくとも、礼節を守れば対局すること自体が交流である。とっつきやすい例会や大会に是非参加してリアルチェスを楽しむ人が増えれば幸いである。

 読みにくいところはご容赦願いたい、読みやすさも向上していきたい。