思考錯誤

細かいことを気にしてしまう

将棋でもできる限り棋譜とろう委員会

1 よくある対局後の悩み

 プロや強い人の感想戦において、盤を動かさずにすらすらと口頭で検討をしているのをよく見かける。局後に一局を最初から並べるのが大変な人は、すごいなと思うことが多いだろうし、憧れる人もいるだろう。ただ、頭の中で上記のような作業をすることは、中々難しいものだし、会得できたとしても時間がかかるものである。

 また、対面での対局後に、家でソフトにかけてみようとか改めて検討してみようと再現しようとすると、どうもうまく再現できないというケースもあるだろう。特に社会人の方々は将棋に割くことができる時間が限られているだろうから、対面の対局というせっかくの自分に特化した教材はできるだけ活かしたいところ。

 

2 オプションとしての採譜

 これらを解決する一番容易な手段は、自分で棋譜をとりながら対局することだと考えている。もちろん、ガチ大会ではできないし、TPOには気をつける必要がある。なので、親しい人あるいは理解を得られる相手(指導対局を含む)との対局の機会に、可能ならやる程度で良いと思う。なお、自分が棋譜をとれない場合や、時間切迫で書けなかった等は、相手等にきいて感想戦などで補充できればベストだと思う。

 書きながら対局するのは最初は負荷がかかって大変だと思うので、試す場合も無理のない程度が良いと思う。マメな人は昔からやっているかもしれない。棋譜をとることの現代における効用は以下の通りだと思う。

 

①ソフトで解析検討できること

 当然ながら、棋譜を再現できれば事後的な検討手法としてソフト解析は容易だ。また、感想戦では考えきれなかった候補手や、感想戦で時間がなくて飛ばしてしまったところ、対局者同士では疑問に思わなかったところもチェックできる。もちろん、SNS等で議論されているように、最善手史上主義をとるかは別問題で、私たちのようなアマチュアはソフトとうまく付き合う必要はあるだろう。いずれにしてもざっくり言うなら復習容易。

 採譜方法につき、私は紙でしっかり書く派だが、上記で述べたようなTPO考慮や相手の承諾を得られれば、ぴよ将棋等の電子的機器を使うのも手軽かつ解析容易だろう。

 

②脳内感想戦スキルの下地

 符号に対して慣れないとか苦手という人、特に最初の方は多いと思う。棋譜並べとい第三者視点はもちろんのこと、当事者として棋譜にとりくみ慣れることができる。

 

③その場での感想戦の正確度アップ

 熱戦のあまり、この局面ってこうでしたっけ?と曖昧だけどとりあえずいいか…と暫定配置で感想戦をしたことある人がいれば、共感しかない。こういうときに、当然すぐ確認できる。

④メンタル面での支え

 加えて、事後的に自信に繋がることもある。将棋などのゲームはわかりやすい日々の成果が出にくい人が多いだろう。対局後にしばらくしてから以前の自分の棋譜を見てみると、今ならこうやるのになと判断力の向上を感じるケースがある。将棋もマインドスポーツであると考えるなら、過去の自分の棋譜は、その根底となるメンタルを支えうる存在だといえる。

 

④【発展編】時間管理

 もし余力のある人で自分の傾向に興味がある人は、おおまかな残り時間を時折、指し手の横に記載しておくこともできる。例えば、持ち時間20分秒読み30秒のとき、10分・5分・秒読みに入るくらいの段階を把握する。これにより、自分のプレイスタイルとして、序盤に時間を使ってしまうのか等、それは特定の戦型に限るものなのか等を意識ないし改善する機会となりうる。

 

3 さいごに

 この方法もあくまで棋力向上のための手段の提案である。意外にも?やっている人は少ないので、そういう人もいるんだという知見になれば。とはいえ、いくら勉強のためとはいえ、棋譜を完璧にとろうとするあまり、対局時の考える質が過度に低下してしまうのは、本末転倒だろう。このような状態になるなら、無理せず控えた方がいいと思う。また、ザ・練習対局を含むすべての対局の棋譜をとる必要もないと思う。やってみようと思った方も、自分に合っているか、アレンジしてやってみるか等ぜひ考えてみてほしい。

 なお、チェス界では、将棋でいうタイトルホルダーであれど自分で棋譜を書きながらゲームを進めている。今回の内容はその慣習の踏襲であり、私自身のアイデアではない。